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電子材料用銅フレーク粉の開発金属粉、金属箔の研究・開発

電子材料用銅フレーク粉を開発しました。

配線形成において

これまで金属ペーストを塗布・印刷後、焼成し導電回路を形成する分野では、主に銀が用いられてきました。
しかしながら近年では、原材料コストの高騰や環境負荷の観点から銅に注目が集まっています。
また、基材に直接印刷する「プリンテッドエレクトロニクス」の分野では、ナノ・サブミクロン粒子を用いた技術開発が盛んにおこなわれていますが、球状・粒状の微細粉を用いると、焼成工程において塗布膜が収縮する際に粒子同士が凝集し、導電性・密着性の低下や強度不足に陥りやすいデメリットがあります。

FUKUDAから新たなご提案

FUKUDAは、これらを解決する手段として微細な極薄銅フレーク粉を提案いたします。
FUKUDAの極薄銅フレークシリーズは、高い導電性と塗膜強度を実現します。
極薄銅フレーク粉を用いることで、導電性などの品質向上だけでなく、環境負荷低減も実現します。

極薄銅フレーク粉を用いるメリット

球状・粒状の微細な銅粉では、焼成時の塗布膜の収縮によりクラックが発生しやすく、基材との導電性や密着強度が得られにくくなります。
極薄銅フレーク粉により、膜の面方向(図内、横方向)への収縮に対応し断線しにくいため、導電性や密着強度を発現します。

導電膜断面のイメージ

※当社材料による比較のイメージ

製品ラインナップ

極薄銅フレークシリーズ「ナノシン」

粉末特性

銅フレーク粉 50%粒径 BET
比表面積値
見掛密度 油脂分
(μm) (m2/g) (g/cm3 (%)
4L3 3.8 2.4 0.9 1.8
2L3A-N 4.0 2.9 0.7 0.5
3L3N 6.2 2.2 0.7 0.4
3L3 6.3 2.1 0.8 1.2
2L3 7.0 2.1 0.7 0.7

※ 記載は全て代表値であり、保証値ではありません。また、事前の予告なく変更されることがあります。

SEM像

2L3A-N×5000

3L3×5000

導電性データ

導電膜の体積抵抗率例

銅フレーク粉 50%粒径 BET
比表面積値
見掛密度 処理温度 体積抵抗率
(μm) (m2/g) (g/cm3 (°C) (Ω・cm)
4L3 3.8 2.4 0.9 275 3.3×10-5
300 2.9×10-5
2L3A-N 4.0 2.9 0.7 275 5.6×10-5
300 3.2×10-5
3L3N 6.2 2.2 0.7 275 7.3×10-5
300 5.8×10-5
3L3 6.3 2.1 0.8 275 5.0×10-5
300 3.5×10-5
2L3 7.0 2.1 0.7 275 5.5×10-5
300 4.0×10-5

※ 記載は全て代表値であり、保証値ではありません。また、事前の予告なく変更されることがあります。

導電膜作製条件

基材:スライドガラス
ペースト化:銅フレーク粉+樹脂+溶剤 ※硬化後銅含有率= 90wt%
焼成雰囲気:窒素100%
焼成時間:60 min
焼成温度:275、300°C
膜厚:10~20 μm程度

各製品の体積抵抗率

実施例 焼成後の導電膜

導電膜断面SEM
4L3使用の断面(焼成300°C) ×5000

その他の用途やメリット

例えば、2L3A-Nの平均粒子径は約4μmであるが、非常に薄いフレーク形状であるため、BET比表面積値から球換算した粒子径は228nmとなり、サブミクロンオーダー粒子と同等の比表面積を有します。このことから、触媒や抗菌などへの利用が期待されます。

SEM

粒径方向

厚み方向

主な特性(代表値)

項目 特性
形状 極薄フレーク
50%粒径(μm) ※1 4.0
厚み(nm) ※2 80
アスペクト比 ※3 50
BET比表面積値(m2/g) 2.9
BET径(nm) ※4 228

※1.50%粒径=レーザー粒度分布測定の値
※2.厚み=BET比表面積値から試算した計算値
※3.アスペクト比=50%粒径/厚み
※4.BET径=BET比表面積値より球換算で計算された粒子径

※記載は全て代表値であり、保証値ではありません。また、事前の予告なく変更されることがあります。

ご質問や少量サンプルのご要望があれば承ります。